IPCC評価報告書
IPCC評価報告書の特徴および構成
- 地球温暖化研究に関する、その時々の最新の科学的知見を評価しその結果をとりまとめる「IPCC評価報告書」の作成には、世界の第一線の研究者の他、各国政府代表が参加している。(第3次評価報告書(TAR)作成については、執筆者・査読者を含め、約1,000名の研究者が参加し、また、第4次評価報告書(AR4)についても同規模+αの参加を受けつつ進められた。)
- 実際に執筆を行う研究者は「新たな研究を行うのではなく」、査読をうけ発表された「研究文献についての評価」を行う。一方、政府関係者は、その評価報告書の作成過程において草稿(ドラフト)の査読(レビュー)を行い、また、最終的にIPCC総会において報告書を承認する。
- このような手順により採択されるIPCC評価報告書は、”国際的に合意された”科学的知見として取り扱われる。
- IPCC評価報告書は、特に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)と密接な関係を持ちつつも、特定の政策に関する提案は行わず、政策的に中立(policy-relevant and policy-neutral)であることを前提としている。
- IPCC評価報告書は、「作業部会報告書」および「統合報告書」から構成される。
作業部会報告書については、従来より、3つの作業部会がそれぞれの作業部会報告書(Working Group Report)を作成している。
各作業部会報告書は、報告書本文(Underlying Report)・技術要約(Technical Summary:TS)・政策者向け要約(Summary for Policymakers:SPM)から構成されている。作業部会報告書はそれぞれ600-1,000ページにもおよぶ大冊となるため、SPMはその要約版として各国の政策決定者(および一般の読者)のために作成され、活用されている。
統合報告書は、第2次評価報告書(SAR)から作成されるようになったものであり、「UNFCCC第2条の解釈に関する科学技術的情報に関する統合報告書」と題されたSAR統合報告書は、作業部会報告書の記述以外を含まない、20ページ程度のものに過ぎなかったが、TAR統合報告書では、新たに、主要なテーマに関して、各作業部会報告書の内容を横断的に扱い独自の記述でとりまとめた報告書(100ページ強)となった。AR4においても、TAR統合報告書からは少し位置づけを変えたものの、作業部会報告を横断的に扱う報告書(35ページ程度)として作成された。
統合報告書(TAR/AR4統合報告書)は、政策者向け要約(SPM)および長めの報告書(Longer Report)、(および図表)から構成される。統合報告書もしくはそのSPMは、IPCC評価報告書の各報告書のなかで、最も、政策決定者(および一般の読者)の目に触れる重要な位置を占めるものともいえる。
IPCC評価報告書(第1次〜第3次まで)の概要
- 1990年:第1次評価報告書(FAR)概要
- 1995年:第2次評価報告書(SAR)概要
- 2001年:第3次評価報告書(TAR)概要
- 各報告書主要項目比較表 〜気温上昇・海面上昇・影響等について〜