MEMBER職員インタビュー

災害を最小限に
食い止めるため、
河川やダムの流出可能性を
シミュレーション。

田中 剛
関西支社 社会・防災事業課
2018年入社
理学部 地圏環境科学科卒業

大きな豪雨災害を
経験したことがきっかけで、
天気に強い関心を持った

天気という分野に興味を持ったのは、大学に入学してからでした。専攻していたのは地学と地理学をあわせたような学問を展開している学科だったのですが、その中で気候学に触れる機会を得ました。大学2年生のときに『平成27年9月関東・東北豪雨』を経験しました。大学のあった宮城県、自分の地元である茨城県で極端な気象現象が起きたことをきっかけに、天気により深い関心を持つようになったのです。その後専攻に進んで、急速に発達する低気圧やエルニーニョ・ラニーニャ現象など、地球規模で起こる気候の変化を学びました。
大学で学んだことを社会に役立てられるような仕事がしたい、そう考えて気象の分野を中心に就職活動を進めていきました。日本気象協会は、気象の情報を提供するだけではなく、データの解析や環境アセスメントなど、天気を中心にさまざまな事業を展開していることを知り興味を持つように。最初は堅い社風の環境なのかと思っていたのですが、説明会や面接を通じてその考えは変わりました。
若い人の意見を尊重し、一人ひとりが主体的に業務を進めていくことを推奨してくれる。しかし一人に責任を持たせるのではなく、課題があればチームで議論しながら最適な業務環境を考えていくという風土を感じ、働きやすそうな会社だなと思いました。

転ばぬ先の杖となるような、
河川やダムの洪水予測システムを作る

関西支社では防災の事業として、道路や鉄道、河川、ダム、空港など部門が多岐にわたります。その中で私は河川やダムの流出予測システムの構築や運用を担当。観測業務に関わることもあります。流出予測システムとは、雨が降った際に河川やダムでの流量がどれくらい増加するか、それを地形や流域のデータをもとに予測シミュレーションするものです。私たちはお客さまである国や県、地方自治体、鉄道会社や航空会社などに対して、それぞれのニーズに合った予測データを提供することで災害を最小限に食い止める一助としていく、転ばぬ先の杖となるシステムを作ることが使命です。
私が入社して間もない頃に『平成30年7月豪雨』が発生し、西日本エリアが大きな被害を受けました。その年の11月、広島県呉市の被災跡地の視察で目にした景色が、強く印象に残っています。被害の大きさ、その現場を目の当たりにしたことで、自分の仕事に対する想いを新たにする機会にもなりました。
私たちは普段、オフィスにこもってシステムを作っていますが、ここで作ったシステムを使用するのは現場の方々です。実際の現場をイメージしながら仕事をしていくことの大切さに気づきました。河川やダムの流出予測という仕事は、人命を救う局面で重要な役割を果たしているのだと、改めて認識することができました。

気象+土木+ITの知識で、
人命を守るシステムを維持していく

天気予報はあたって当たり前、防災のシステムも正常に動いていて当たり前。それが世間の認識だと思います。河川の流出予測システムは、洪水という緊急事態が起こった際に力を発揮するものです。そんなときに決められた行程を何事もなく実行できることが大切です。
私の所属する部署は、気象に加えて土木やITの知識が必要になることがあります。さらにお客さまのニーズに合ったシステムを作っていくためには、技術者としてのスキルだけではなく、コンサルティング能力も身につけなくてはいけません。日々の仕事を通じて経験からスキル向上を目指していくことはもちろんですが、過去の事例なども参考にしながら知識を深めていくことが今の課題です。
天気とは人々にとって馴染み深く、常に身近にあるものですが、そのメカニズムに詳しい人は少ないと思います。私たちは気象のプロとして、天気によって引き起こされる事象やその背景を、多くの人がイメージしやすいように伝えることを追究していきたいです。

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