UNFCCCとの関連
IPCCとUNFCCCは、密接な協力関係のもと、同じく地球温暖化問題を扱う国際的な活動を展開しており、そのため、時に混同される場面も見受けられるが、両者は異なる母体をもつ別の組織である。
IPCCはUNFCCCに先んじて1988年に設立されており、IPCCが1990年に発表した第1次評価報告書が、その後、1992年に採択されることになったUNFCCCの重要な科学的根拠とされたという関係にある。(つまり、UNFCCCの発足に関して、IPCCが重要な役割を果たしたといえる。)
UNFCCCの補助機関である「科学・技術上の助言に関する補助機関 (SBSTA)」は、UNFCCCの扱う事項について科学的根拠が必要な際に、IPCCに情報を求め、IPCCは、IPCC総会においてその要請への対応を審議し、決定を下す。要請に応じる旨決定した場合は、そのための報告書等を作成し、要請に応えることになる。
例えば、UNFCCC締約国が国別温室効果ガス目録 (国別報告書) を作成する際に必要となるガイドライン・手法を示すほか、京都議定書の重要な一部である吸収源についての科学的知見や取り扱い手法を示すなど、様々な面で科学的側面からの協力を行っている。(詳細については、「特別報告書/技術報告書/方法論報告書」の頁を参照のこと)
なお、その際、IPCCは「あくまで政策的に中立であり、特定の政策の提案を行わない」という科学的中立性を重視していることに留意されたい。
年 | 報告書発表の経過 | 関連事項 |
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1988 | IPCC設立 | |
1990 | IPCC第1次評価報告書 | 国連気候変動枠組条約交渉会議 |
1992 | IPCC補足報告書 | 国連環境開発会議 (地球サミット)、気候変動枠組条約に155カ国が署名 |
1994 | IPCC特別報告書 | 国連気候変動枠組条約発効 |
1995 | IPCC第2次評価報告書 | COP1 (ベルリン) |
1996 | IPCC技術報告書 方法論報告書 |
COP2 (ジュネーブ) |
1997 | IPCC特別報告書 技術報告書 |
COP3 (京都)、京都議定書 |
1998 | COP4 (ブエノスアイレス) | |
1999 | IPCC特別報告書 | COP5 (ボン) |
2000 | IPCC特別報告書 方法論報告書 |
COP6 (ハーグ) |
2001 | IPCC第3次評価報告書 統合報告書 |
COP6再開会合 (ボン)、COP7 (マラケシュ)、マラケシュ合意 |
2002 | IPCC技術報告書 | COP8 (ニューデリー) |
2003 | IPCC方法論報告書 | COP9 (ミラノ) |
2004 | COP10 (ブエノスアイレス) | |
2005 | IPCC特別報告書 | 京都議定書発効、COP11/COPMOP1 (モントリオール) |
2006 | IPCC方法論報告書 | COP12/COPMOP2 (ナイロビ) |
2007 | IPCC第4次評価報告書 | COP13 (バリ) |
2008 | COP14 (ポズナニ) | |
2009 | COP15 (コペンハーゲン) | |
2010 | COP16 (カンクン) |