PROJECT私たちの取り組み

PROJECT08

気候変動

10年後も、20年後も、ブランド豆を美味しく食べられるように。

世界規模で進む「気候変動」に対して、日本気象協会では様々なプロジェクトが進められています。たとえば、再生可能エネルギー推進への取り組みもその一つであり、このように温室効果ガスの排出を減らすことで気候変動そのものを抑制する取り組みを「緩和」と呼びます。その一方で、気候が今後どのように変化するかを把握したうえで、その変化による影響をできる限り小さくするための対策を講じる取り組みを「適応」と呼びます。

この適応への取り組みは、洪水や台風といった「自然災害への備え」、熱中症などの「健康影響の軽減」と多岐にわたりますが、「農業における気候変動対策」もその一つです。たとえば、あるブランド豆の産地として有名な自治体では、気候変動の影響により豆の品質の低下や収穫時期の変化が心配されていました。そこで私たちは、この地域の過去の気象データと農作物の栽培データを分析したうえで、将来の気温や降水量、日照時間などの気象予測データを解析することにより「豆の収穫量や品質、栽培条件に将来どのような変化が起こりうるか?どのような対策が有効か?」について整理しました。栽培実験や適応策の検討には、現地の研究機関や専門家の方にもご協力いただき、ご助言を踏まえながら進めました。これからの地域の農業や私たちの食卓を、気象や気候の側面から支えることができる、私たちにとって新しい可能性が感じられた取り組みでした。

他にも、食品会社の依頼を受けて将来の原材料の産地の変化について分析する、また、メーカーが保有している国内外の工場について、気候予測をもとに災害リスクが高まる恐れがどの程度あるかを伝えるといった業務も行っています。気候変動に関する動向や各国の取り組みを常にチェックしながら、私たちの暮らしや産業の”未来を支える”ためのプロジェクトを進めています。

気候変動による影響を、より多くの人に活用してもらえるように

環境・エネルギー事業部 環境解析課
白川喜一

これまで気候変動の「影響評価」や「適応」に関する取り組みは、どちらかというと国や自治体とのプロジェクトが中心でした。しかし最近では、民間企業においても気候変動の影響を把握し、そのリスクに備えることが重要という意識が高まってきており、ご相談いただくことが増えています。民間企業が扱う商品・サービスは様々であり、こうしたプロジェクトの幅が広がっていくにつれ、私自身も気象以外の分野に関する知識を幅広く求められるようになっています。日々学ぶことが多い点は大変ですが、様々な分野や業種の方との仕事は刺激も多く、大変貴重な経験になっていると思います。